2011年10月20日木曜日

ポップで振り返る知りサイ100巻の軌跡-010

最近ではすっかり話題にのぼらなくなった地球温暖化問題。京都議定書の期限が2013年と迫っているのですが、次の枠組みは見えていません。鳩山前首相が、世界に向けて英語で演説したあの頃は、温度が上がっている、いや下がっている、人間活動の影響だ、いや地球の自然現象だ、などと白熱した議論がありましたが、今ではすっかり話題にならなくなってしまったようです。
「知りたい!サイエンス」シリーズでは、比較的早期に地球温暖化問題に関する書籍を刊行しています。それが、『地球温暖化は本当か?―宇宙から眺めたちょっと先の地球予測―』です。


 当時は、どちらかといえば、地球温暖化の影響を危惧するむきが多勢であり、主因ともいえるCO2削減が盛んに叫ばれていたように思います。「地球温暖化は本当か」という問いは、すでに政治的な問題となっていた「地球温暖化論争」を、もう一度科学の目できちんと見直してみようという問いかけでもありました。当時から世界には温暖化を唱える科学者ばかりがいたわけではありませんでした。また、単純に温暖化している/していないの両極端に分かれているというわけでもなかったはずです。
そういった意味で、多様な意見をとりあげながら、地球環境の科学的理解をうながそうというのが本書の狙いでもありました。(話題として)新しい古いではなく、地球環境について学んでみたいと考えるむきには、今読んでもおもしろい本だと思います。

あと、「地球温暖化論」というのは、科学的に議論する、科学的にものを考える、といったことがどういうことかを知るのに格好の素材でもあります。温暖化していることをどのように認識し、なおかつ温暖化の影響をいかなる合理性をもって予測していくか、そしてそれについてどのように議論していくことが大切か、温暖化している/していないといった論争の次のステージを考えよう、というこちらの本もお勧めです。あわせてどうぞ。
枝廣淳子、江守正多、武田邦彦・著『温暖化論のホンネ―「脅威論」と「懐疑論」を超えて

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